【秀哉の囲碁入門⑩】一局の流れ(2)前編

今まで石の取り方について学んできましたが、今回は、一局の流れを見ていきましょう!

とてもボリュームがありますので、前編と後編に分けてお届けします。

是非、ゆっくり、碁盤に並べながらご覧ください。

では、よろしくお願いします。

図1

まずは黒1です。
一手目だけは「右上の隅」から打つのでしたね。
(昔からある、相手に敬意を表すという意味でのマナーです。)

また、隅は陣地を効率よく作る事ができるということで、
黒1は戦略的にも良い手です◎



図2

白も隅に陣地を作るという考えで、白2がGoodです。
2手目からはどの場所に打っても良いので、この棋譜の白2以外も色々試してみて下さい。




図3

今度は黒番です。
黒3と打ってみました。
左上の隅を陣地にしようとしていますね。
このように、隅についている印(星と言います)から、ずらして打ってもOKなのですね。
本当に自由なゲームです。


そして、黒3と打つ事によって…



図4

こんなイメージです。
右上の黒とも連携しながら、上辺に黒模様を作っています◎
良い感じですね。


では、
次の白も、同じように「下辺」に白模様を作ってみましょう。



どこに打つのかというと…



図5

白4です◎
棋譜は「打つ方の一例」ですので、ほかにも色々な打ち方がありますが、
黒3と同じように打つとしたら、この場所ですね。




図6

こんなイメージです。



図7

こういう勢力図になりましたね。


さて、
今度は黒番です。
黒の陣地を広げて、白の勢力の拡大を防ぎたいです。


どのように打つのかというと…



たとえば、



図8

黒5が良い手です◎



この手を打つ事によって、



図9

こんな風に黒の勢力が拡大します。


さて、白も、
右下の白と左下の白をつなげる感じで打ってみましょう。




図10

白を連絡させるイメージで、白6が良い手です◎




図11

こんな感じですね。
下辺を囲みながら、次に上辺の黒模様へ進もうとしています。




図12

もう一度白が打てたら、
白△に打って、上辺の黒地をジャマしたいです。




図13

白△に打てば、
黒の勢力を二分することができて、
黒の陣地が小さくなります。




図14

なので、白6に対しては、
黒7と守る手が良い手になるのですね。

上辺一帯が黒の陣地になりました。





図15

上辺が黒地、下辺が白です。
そして、今後打っていく場所はその境目になります。



次は白番です。
右辺の境目を打ってみましょう。



どこに打つのかというと…


図16

白8(コスミ)が良い手です。
この手は、青丸のあたりを白地にしつつ、次に黒の陣地へ進もうとしています。




図17

白△と進もうとしています。

黒も、白に進んで来られると黒地が減ってしまうので、



図18

黒9と止める事になります。
OKでしょうか。



次の手も一例ですが、


図19

黒がAと進んで来ないように、



図20

白10と打つ手が良い手です。
この図と図19を見比べてみて下さい。
下辺の白地の雰囲気が違いますよね。


では、
今度は黒番です。
左辺の境目を打ってみましょう。



どこに打つのかというと…


図21

黒11が良い手です。
この黒11もコスミですね。
そして、次に白の陣地へ進もうとしています。




図22

なので、
白も12と打って黒の進行をストップします◎


次の黒番で、
さらに白の陣地へ進んでみましょうか。



図23

黒13が白の陣地を荒らす良い手です。
この手の名前は「ハネ」ですね。

敵と接触しているときに斜めに打つ手が「ハネ」でした。




図24

次に黒△に打って白地を減らそうとしています。
黒△となると、緑エリアは白の陣地とは言えなくなってきますね。




図25

なので、
黒13に対しては、白14と、黒の進行を止める事になります。


そして、
白14は黒の進行を止めただけではなく…



図26

黒13をアタリにしています◎
(次に白△に打てば、黒13の一子を取る事ができますね。)




図27

なので、
白14に対して黒は15とつなぐ必要があります。



さて、
黒15もただ味方の石を守っただけではありません。


次に白を取る狙いを秘めています。
どこを狙っているでしょうか?

黒の狙いを考えてみましょう。



「黒の狙い」を考えるので、
もう一度黒が打てるとしたらどこが良いだろうか?
と考えてみて下さい。

うまく打つと、白石を取る事ができます。




答えいきますね。




図28

もう一度黒が打てるとしたら、黒1です◎
白×を分断しています。
そして、白一子がアタリになっていますね。



図29

白×がアタリになりましたので、
白は2と抵抗をしてくるかもしれません。


そうしたら黒は、
白を端っこに追いつめる感じで…



図30

黒3◎
さらに白をアタリにします。


このあと、

図31

白が4と逃げても…



図32

黒5で、白三子を取る事ができますね。




図33

こういう状況になります。
黒はものすごく得をしました。


さかのぼりますね。



図34

今の話は、
黒が15とつないだ時の次の狙いの話でした。
次に黒は×の場所に打ちたいのだということが分かりましたね。
(黒が×に打つ手を「一線のアタリ」と言います。)


ということで、
次は白の番でしたから



図35

白は16と打つ手がとても大事な一手になります◎
白×同士を連絡させて、取られないように守ります。



図36

白16と打つ事で、白四子はひとつのかたまりになり、
道が増えます◎
黒に囲まれづらくなりましたね。



図37

そして、このように味方の石が取られないように守る事で、
下辺の白の陣地が完成していきます◎





図38

では、黒17と打ってみます。
白地と黒地の境目ですね。
この手は、これ以上進む道がありませんが、狙いがあります。

黒17の狙いは何でしょう?



もう一度黒が打てるとしたら…



図39

黒1が良い手です◎
白Aと白Bを分断しています。
そして、白Aがアタリですね。



図40

白が2と打って助けようとしても…




図41

黒3(3’もOK)とさらに白を追い詰めて…




図42

白4と逃げようとしても、




図43

黒5と打って、白×を取る事ができます。



図44

こういうことになります。



ということで、



図45

黒17は、次に×の断点を攻めようとしています。
(黒が×に打つ手を「線のアタリ」と言います。)

端っこの石は取りやすいのですね。



図46

ですから、黒17に対しては
白18と打って、断点を守ることが重要になります。



図47

白がつながることで、道が増えました。
これで白は安全です。




図48

さて、次の黒は19と打ってみました。
この手も陣地の境目を打っていますね。


黒19を打たずにいて、


図49

白△と打たれると、黒地が減ってしまうのです。



図50

黒19は、白が進んでくるのを防いで、
赤丸の場所を黒の陣地にした手になります。




図51

白も20が良い手です◎

この手はどういう手なのかというと…


図52

青丸の場所を白の陣地にしながら、
次に黒の陣地へ前進しようとしています。
自分の陣地を広げて、相手の陣地を減らす良い手です◎



図53

黒も、黒地が減るのは嫌ですから、黒21と打って白の進行を止めます。

大分境目が決まってきましたね。

残りの境目はどこらへんでしょうか?



三か所あります。




図54

緑エリアが白地と黒地の境界ですね。

ということで、
白番で右辺の境目を打ってみましょう。



どこに打つのかというと…




図55

白22◎
「ハネ」ですね。
随分慣れてきたのではないでしょうか。


この手は、


図56

黒地に入り込もうとしています。



なので、



図57

黒は23と止めますね。

そして、同時に白一子がアタリです。



図58

さらに黒が△と打てば白を取れますね。


ですから、白は取られないために、


図59

白22のハネ
黒23のオサエ
となったときに、


図60

白24とツナギを打つことになります。
この動きは非常に良く出てきます。
(白22、24をまとめて「ハネツギ」と言います。)


さて、
白は24とツナギました。
この手は自分の石を守っただけではなく、




図61

次に「一線のアタリ」を狙っています◎
黒×を二手に分断し、黒一子をアタリにしていますね。




図62

こうなると黒×はもう助かりません。
仮に黒が2と逃げだそうとしても…




図63

白3とさらにアタリされて、



図64

黒4と逃げても、



図65

白5と打つことで、
黒×がまたアタリになります。




図66

黒6と逃げても、白7と打って…




図67

こういう状況になりますね。
黒は助かりませんでした。



図68

白22、24の「ハネツギ」は、
次に×の「一線のアタリ」を狙っているということが分かりました。


なので、
次の黒は…


図69

黒25と打って、黒×たちをツナギます。
これで、右辺の攻防は一件落着になります。

よく出てくる形を把握しておくと、
上達がとても早くなりますよ。

さて、随分と陣地の境目が決まってきて、「終局」間際です。

このまま終わりまで解説していきたいのですが、終局するにあたって色々ご説明することがあり、長くなります。

ということで、今回は一旦ここまでにしておきましょう。

また近々「後編」をお送りしますので、是非復習しておいて下さい。

では、読んでくださりありがとうございました。

次回もよろしくお願いします!

※続けて次の記事も見たい方はこちら:
【秀哉の囲碁入門⑪】一局の流れ(2)後編

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